子育てと仕事の両立に悩むワーキングママ、いわゆるワーママは少なくありません。

「キャリアアップを目指したいけど本当に可能なのかな…」と不安を感じることも多いでしょう。

近年はリモートワークや時短勤務の普及など働く環境が大きく変化し、キャリア形成の選択肢は広がっています。

この記事では、育児と仕事を両立しながらキャリアを前に進めるための具体的な方法と考え方を紹介します。

ワーママ特有のキャリアアップの悩み

ワーママとしては、大きく三つの要因がキャリアアップを考える上での悩みとなります。

時間が足りない

時間が足りないことに悩むワーママは少なくありません。

育児に追われて仕事に集中できる時間が限られる、残業ができず同僚との差が開く、スキルアップの機会を持てないといった不安が生まれます。

朝は子どもの準備に追われ、夜は家事に追いつくだけで精一杯。

自分のキャリアを見つめ直す余裕すら持てない人もいるでしょう。

職場の理解

職場によっては、子育てへの理解が十分に得られないこともあります。

子どもの急な体調不良で休まざるを得ない、保育園のお迎えのために定時で帰らなければならないといった状況に対し、理解が不十分な会社は少なくありません。

「また休むの?」という冷たい視線を向けられたり、疎外感を覚えたりするワーママも多いです。

たとえ職場が理解を示してくれていても、負担をかけているのではと申し訳なく感じる人もいるでしょう。

自分自身の迷い

自分自身の迷いに苦しむ人も少なくありません。

「子どもに十分な時間を与えられているのか」

「家庭と仕事、どちらを優先すべきなのか」

といった内面的な葛藤に直面し、働く母親としての罪悪感やキャリアを諦めることへの不安が常につきまとい、心の重荷となります。

育児経験をキャリアの武器にする発想転換

育児の経験を強みに変える視点を持ってみましょう。

母親目線を活かせる業務・職種

母親としての経験は、同じ子育て世代の女性の気持ちに寄り添う力になります。

育児で培った視点は、商品企画やマーケティングの場面だけでなく、カスタマーサポートや人事・労務においても活かせます。

例えば、商品開発では「子どもと一緒に使う場面」を想定したアイデアを提案できますし、人事では「育児と仕事を両立しやすい制度」を現実に即して考えられます。

ワーママネットワークの活用

同じ境遇を持つ仲間とのネットワークは、ワーママのキャリア形成において役立ちます。

求人情報や働きやすい企業の評判を共有できるだけでなく、悩みを話し合うことで孤独感を和らげる場にもなるでしょう。

また、コミュニティを通じたつながりが、新しい仕事やキャリアの可能性を広げることもあります。

SNSや地域コミュニティに加え、ビジネス系ママ向けのオンラインサロンに参加するのも効果的です。

社会貢献意識をキャリアに転換する

育児を経験するうちに、教育や環境といった社会課題に関心を持つようになる人もいます。

その場合、企業の社会的責任(CSR)やSDGs関連部署、NPOや教育関連事業といった社会貢献に直結するキャリア選択も有効です。

母親としての実体験を踏まえた視点は、当事者に寄り添った取り組みになることでしょう。

ワーママに優しい会社の見極め方

公的な認定を受けているか

厚生労働省や経産省が行う認定制度を持つ企業は、育児支援やダイバーシティ推進に前向きな傾向があります。

例えば以下のような認定制度があります。

  • えるぼし認定(女性活躍推進企業)
  • ダイバーシティ経営企業100選
  • なでしこ銘柄(女性活躍先進企業)
  • くるみんマーク(子育てサポート企業)
  • ワークライフバランス認定企業

求人票や企業HPで確認できるため、応募前に必ずチェックしましょう。

制度が具体的に整っているか

企業内託児所、ベビーシッター補助、子どもの看護休暇など育児と両立しやすい制度があるかを調べましょう。

求人票や企業ホームページの福利厚生ページで託児所や看護休暇、ベビーシッター補助などの制度名を確認します。

ただし、記載があっても形式的な場合もあるため注意が必要です。

社員の女性比率

女性社員が多い職場は、ワーママに対する一定の理解があることが多いです。

女性社員の比率、管理職への登用実績、出産・育児後に復職している社員数などを確認しましょう。

公開データや面接での質問を通じて把握できます。

また、職場環境や設備も判断材料になります。

パウダールームや授乳室など、女性の意見を取り入れた施設が整っている会社は、働きやすさを重視しているケースが多いです。

求人情報だけでは分からないため、会社見学や面接での質問、社員の声から確認するとよいでしょう。

ワーママが輝くための成功ポイント

ワーママとしてキャリアアップを成功させるためのポイントは以下の2点です。

家族の協力を得る

ワーママとしてキャリアアップを実現するためには、家族の理解と協力が欠かせません。

家事や育児の分担を明確にし、お互いの仕事の重要性を理解し合うことから始めましょう。

キャリアアップの目標を家族と共有し、家族全体にどんなメリットがあるのかを伝えられると協力が得やすくなります。

両親や義両親からサポートを受けられる場合は、無理のない範囲でお願いするとよいでしょう。

定期的に家族会議を開いて状況や希望を話し合い、皆が納得できる方針を決めることが大切です。

転職活動は最適なタイミングで

子どもの年齢や保育園の状況、家族の理解度などを総合的に考慮して動きましょう。

一般的には、子どもが1歳を過ぎて保育園に慣れた頃が復職のタイミングとして適しているといわれています。

ロールモデルから学ぶ成功パターン

大手企業で管理職になったワーママの事例

製造業の営業部長(2児の母・35歳)

製造業で営業部長を務める35歳・2児の母のケースです。効率化を徹底し、部下の育成にも力を注いだ結果、時短勤務でありながら部門の売上向上に大きく貢献しました。その実績が評価され、会社初の時短管理職としてキャリアを切り拓いています。

ベンチャー企業で活躍するワーママの事例

製造業の営業部長(2児の母・35歳)

IT企業でプロダクトマネージャーを務める32歳・1児の母のケースです。ユーザー目線を活かした商品企画で成果を上げ、育休から復帰してわずか1年で昇進しました。柔軟な働き方ができる環境を活かし、仕事と育児の両立を実現しています。

独立・起業を選んだワーママの事例

製造業の営業部長(2児の母・35歳)

マーケティングコンサルタントとして活動する40歳・3児の母のケースです。会社員時代に培った経験を活かして独立し、家事や育児の合間を効率的に活用することで成果を重ねています。その結果、収入を大きく伸ばし、柔軟で自分らしい働き方を実現しています。

異業種転職に成功したワーママの事例

銀行員→人事コンサルタント(2児の母・38歳)

銀行員から人事コンサルタントへと転身した38歳・2児の母のケースです。金融業界で培った経験に加え、育児を通じて得た視点を活かし、働き方改革支援の分野で専門性を発揮しました。転職を機に大幅な年収アップを実現し、新しいフィールドで活躍しています。

ワーママのキャリアアップでよくある失敗例

最後に、ワーママがキャリアアップを目指す際によく見られる失敗例を紹介します。

同じ道をたどらないためにも、心に留めておきましょう。

完璧主義で自分を追い込んでしまう

仕事ではミスを避け、子どもの世話も自分一人で完璧にこなそうとする人もいます。

立派な姿勢ですが、その結果として心身が疲れ切ってしまえば意味がありません。

大切なのは「ここは自分でやる」「ここは人に任せる」と優先順位をつけることです。

例えば夕食に冷凍食品を取り入れる、家事をパートナーに協力してもらうといった工夫で負担を減らしましょう。

遠慮によって成長機会を逃す

「時短勤務だから責任ある仕事は引き受けにくい」と自分から遠慮してしまう人もいます。

その結果、新しいプロジェクトやリーダー経験など、キャリアアップにつながる機会を逃してしまうのです。

無理をする必要はありませんが、できる範囲で手を挙げる姿勢を示すことは大切です。

家族の理解が得られずに孤立する

家事や育児を抱え込んだまま、キャリアアップを進めようとすると家族の協力が得られずに疲弊してしまうことがあります。

夫から「勝手に転職を決めたの?」と不満を持たれてストレスになることもあるでしょう。

これを防ぐためには、早い段階から家族と共有し、無理のない形で協力をお願いすることです。

理解を得られれば、精神的な支えになり、良い方向に進みます。

スキルアップを怠ってしまう

大変な時期でも、少しずつでも学習を続けることが大切です。

自己投資を後回しにするとあなたの市場価値は下がってしまいます。

特にITやマーケティングのように変化が早い分野では、数年で大きな差になります。

家事の合間に「ながら聴き」できる音声学習サービスがおすすめです。

まとめ

ワーママにとってキャリアアップは簡単ではありませんが、前に進む方法はいくつもあります。

大切なのは「できない理由」を探すのではなく、子育てと仕事の経験を強みに変える視点です。

その経験は他の誰にも真似できない価値となり、あなた自身のキャリアを支える力になるでしょう。