フリーランスや個人事業主として収入が増えてくると、気になるのが社会保険料の負担です。

どうすれば保険料を抑えられるのか、多くの方が頭を悩ませているのではないでしょうか。

保険料の負担を軽減する方法はいくつかありますが、今回は社会保険加入支援サービスの「みん社保」とマイクロ法人の設立という2つの方法に着目して比較していきます。

社会保険加入支援サービス

個人事業主が健康保険料を抑えるときによく使われるのが、みん社保、社保カツなどの社会保険加入支援サービスです。

一般社団法人の理事、または従業員となり、報酬を受け取ることで社会保険に加入できます。

本人だけでなく家族も扶養に入れることができ、扶養人数が増えても保険料は変わりません。

国民健康保険では所得が高いほど保険料が上がりますが、社会保険加入支援サービスでは所得に関係なく一定のため、所得が高い人ほど節約効果が大きくなります。

みん社保について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

マイクロ法人の設立

マイクロ法人は、自分で設立する一人社長の法人です。

株式会社または合同会社として設立し、自分が代表取締役となって役員報酬を受け取ります。

役員報酬を低く設定することで、社会保険料の計算基礎となる金額を抑え、保険料を最小化できます。

個人事業主として行っている仕事の一部を法人に移し、法人と個人事業を併用する形が一般的です。

ただし、法人で行う事業と個人事業で行う事業を明確に区別する必要があり、同じ内容の事業を単に分けただけでは税務署から指摘を受ける可能性があります。

みん社保とマイクロ法人の費用比較

みん社保の費用

みん社保の初期費用は加盟金として99,000円支払い、報酬として56,000円を受け取ります。

差額の43,000円がみん社保でかかる費用です。

この金額は所得に関わらず一定で、家族を何人扶養に入れても変わりません。

年間の費用は約52万円程度で、税理士などのサポートも含まれているため、確定申告の手間も軽減されます。

国民健康保険で年間60万円以上支払っている人であれば、みん社保に切り替えることで年間数万円から数十万円の節約になります。

マイクロ法人設立にかかる費用

マイクロ法人の設立には、株式会社で約25万円、合同会社で約10万円の初期費用がかかります。

設立後は毎年の維持費が必要です。

法人住民税の均等割として最低7万円を支払わなければならず、赤字でもこの税金は免除されません。

社会保険料は役員報酬に応じて変動しますが、役員報酬を月額10万円に設定した場合、社会保険料は月額3万円程度になります。

ただし経理が複雑になるという問題があります。

税理士に決算を依頼すれば、年間10万円から20万円の顧問料が発生します。

年間の維持費は税理士を使う場合で30万円から40万円程度、自分で処理する場合は10万円程度です。

みん社保とマイクロ法人設立どちらが手間がかかる?

みん社保

みん社保の加入手続きは、申し込みフォームから申請するだけで完了します。

ITフリーランス協会が社会保険の加入手続きを代行してくれるため、自分で年金事務所に行く必要はありません。

加入後の運営も、毎月15分程度のアンケートに答えるだけです。

確定申告も個人事業主として通常通り行えばよく、法人特有の複雑な手続きはありません。

理事報酬は給与所得として扱われるため、確定申告時に給与所得として申告します。

サービス内に税理士のサポートも含まれているため、不明点があれば相談できます。

マイクロ法人

マイクロ法人の設立には、定款の作成、登記申請、税務署や年金事務所への届出など、複数の手続きが必要です。

設立までに2週間から1か月程度かかります。

設立後は毎月の給与計算と源泉徴収を行い、社会保険の算定基礎届や賞与支払届などを定期的に提出しなければなりません。

決算時には法人税の申告書を作成し、株主総会の議事録も残す必要があります。

個人事業と法人の会計を別々に管理し、それぞれで確定申告を行うため、事務作業が増えてしまいます。

みん社保とマイクロ法人設立どちらを選ぶべきか

みん社保とマイクロ法人のどちらが適しているかは、現在の収入、家族構成、将来の事業計画によって変わります。

ここでは、それぞれに向いている人の特徴をお伝えします。

みん社保が向いている人

年間所得が500万円以上あり、国民健康保険料が月額43,000円を超えている個人事業主は、みん社保で確実に節約できます。

また、配偶者や子供を扶養に入れたい場合、みん社保では追加の保険料負担がないため、家族が多いほど有利になります。

法人設立や運営の手間をかけたくない方、会計や税務の知識に不安がある方にとっても、みん社保は現実的で取り組みやすい方法です。

マイクロ法人設立が向いている人

将来的に事業拡大を見据えて法人化を考えている方は、マイクロ法人から始めることで法人運営の実務経験を積むことができます。

また、複数の事業を運営しており、事業ごとに収入を明確に分けて管理したい方にも適しています。

会計や税務の知識をお持ちの方、または税理士に依頼できる予算を確保できる方であれば、マイクロ法人の運営はスムーズに進められるでしょう。

役員報酬の設定を柔軟に調整したい方や、法人特有の節税メリットを最大限に活用したい方にとって、マイクロ法人設立は自由度が高く魅力的です。

一定の事務作業の負担を受け入れられる方であれば、長期的な視点で見るとマイクロ法人のほうが高い節税効果を期待できる可能性があります。

まとめ

みん社保は月額43,000円の定額で手間がかからず、扶養家族が多い人や法人化の予定がない人に適しています。

マイクロ法人は設立と維持に費用と手間がかかりますが、将来の法人化を見据えた人や複数事業を運営する人に向いています。

まずは現在の国民健康保険料を確認し、月額43,000円以上支払っているかどうかを基準に判断してください。

手間をかけたくない場合はみん社保、事業拡大を見据えている場合はマイクロ法人設立が選択肢になるでしょう。