IT業界でキャリアを積んでいる方の中には、将来的に海外での活躍を視野に入れている方もいるでしょう。

その際に大きな武器となるのが、世界で通用する国際資格です。

国際資格を取得しておけばグローバルなITスキルを証明できるため、海外企業への転職で有利に働きます。

本記事では、IT系の国際資格を厳選して紹介します。

IT系国際資格とは

IT系の国際資格とは、国や地域を問わず通用するITスキルを客観的に証明できる資格のことです。

試験は、以下のような形で日本国内でも実施されています。

  • 海外と同一内容の試験を日本語で提供しているケース
  • 認定団体の日本支社や提携機関が主催しているケース
  • 国際団体から委託を受けた日本の試験機関が実施しているケース

多くの国際資格には有効期限があり、継続的な学習や更新が求められます。

これは技術の進化に合わせて知識を維持するための仕組みです。

また、一部の資格では保有者向けのコミュニティや勉強会が世界規模で運営されており、情報交換や人的ネットワークの形成に役立ちます。

国内のIT関連資格は日本市場に特化しており、海外での認知度は限定的です。

海外で働く際や外資系企業への転職では、日本独自の資格よりも国際的に認知された資格の方が評価される傾向があります。

また、国際的なプロジェクトに参加する場合も、世界共通の基準で取得した資格の方が信頼性が高いとされています。

おすすめIT国際資格

それではここからは、代表的なIT系の国際資格を紹介します。

シスコ技術者認定試験

Cisco社が提供するネットワーク技術者向けの認定資格です。

CCNA(Cisco Certified Network Associate)から始まり、CCNP(Cisco Certified Network Professional)、CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)まで、技術レベルに応じた階層構造になっています。

特にCCNAは、ネットワークの基礎知識からルーティング、スイッチング、セキュリティまでを包括的にカバーしており、ネットワークエンジニアとしてのキャリアの第一歩として世界中で認知されています。

CCIEは最高レベルの認定として、実機を使った8時間の実技試験が課せられ、取得者は業界内で非常に高い評価を受けます。

シスコ製品は世界中の企業で広く採用されているため、国際的なプロジェクトでの活躍機会が広がります。

MOS

MOS(Microsoft Office Specialist)は、WordやExcel、PowerPointなど、マイクロソフトのオフィス製品の操作スキルを証明できる国際資格です。

各アプリケーションごとに、一般レベルから上級者向けのエキスパートレベルまで用意されています。

試験はCBT方式で、実際のアプリケーションを使って操作する実技形式です。

マイクロソフトオフィスは世界中で標準的に使われているため、実務での再現性が高く学習のハードルも比較的低めです。

オフィス製品のスキルを客観的に示せる資格として、事務職やビジネス職を目指す方に人気があります。

CISA(Certified Information Systems Auditor)

CISA(Certified Information Systems Auditor)は、ISACA(情報システムコントロール協会)が認定する国際資格で、情報システムの監査やセキュリティ、コントロールに関する専門知識を証明します。

取得には、原則として5年以上の実務経験が求められますが、学歴や他の資格によって一部が免除されることもあります。

試験では、情報システム監査の手順、ITガバナンス、インフラやシステムのライフサイクル管理、情報資産の保護といった幅広い領域が出題されます。

ITの統制やコンプライアンスの重要性が増す中、CISAを保有する人材は、監査法人やコンサルティング会社、企業の内部監査部門などで高く評価されています。

CIW(Certified Internet Webprofessional)

CIW(Certified Internet Webprofessional)は、ウェブ技術やインターネットビジネスに特化した国際資格です。

ウェブデザイン、開発、ネットワーク、セキュリティといった幅広い分野を対象としており、基礎レベルのFoundationsから、Web Design SpecialistやWeb Security Professionalなどの上位資格へと段階的に学べる構成になっています。

いずれの試験も実務に直結した内容で、現場で活用しやすいスキルが習得できます。

国際的に信頼されている標準手法や運用ルールを元に作られているため、海外のプロジェクトでも通用する知識が身につきます。

認定情報技術者制度(CITP)

CITP(認定情報技術者制度)は、英国のChartered Institute for IT(BCS)が運営する情報技術の専門家向け資格です。

技術試験だけでなく、ITプロフェッショナルとしての職業倫理や継続的なスキル向上への取り組みが重視されています。

取得には学歴に加え、一定の実務経験と継続的な専門能力開発の実績が必要です。

申請時には詳細な経歴書と推薦状を提出し、総合的な審査を経て認定されます。

また、認定後も毎年スキルアップに関する活動の報告が求められます。

専門知識だけでなく、責任感や倫理観を備えたIT人材であることを証明できる資格として、特に英国や欧州で高い評価を受けています。

Oracle Master

Oracle Masterは、オラクル社が認定するデータベース技術者向けの資格で、Oracle Databaseに関する専門スキルを証明します。

資格はBronze、Silver、Gold、Platinumの4段階に分かれており、習得レベルに応じた実力を示せる体系になっています。

試験では、設計・構築から運用、チューニング、バックアップやリカバリまで、実務で求められる幅広い知識が問われます。

特にGold以上のレベルでは、実機を使った実技試験も実施され、より実践的なスキルが評価されます。

Oracle Databaseは世界中の企業で導入されており、この資格を取得することで国際的なプロジェクトや大規模システムの現場で活躍するチャンスが広がります。

AWS認定

AWS認定は、Amazon Web Servicesが提供するクラウド技術に関する公式資格です。

基礎レベルのCloud Practitionerをはじめ、アソシエイト、プロフェッショナル、スペシャリティといった全12種類の資格があり、担当する業務や専門分野に応じて選べます。

AWSは世界最大のシェアを誇るクラウドプラットフォームで、多くの企業がシステムのクラウド化にあたり導入しています。

特にSolutions Architect AssociateやCloud Practitionerは、クラウドエンジニアとしての基礎を築く上で有効な資格として広く認知されています。

資格の有効期間は3年間で、継続的な学習が前提とされています。

AWS認定資格は世界的に通用するため、海外のクラウド案件やグローバル企業のプロジェクトにも関わりやすくなります。

CompTIA認定

CompTIA認定は、CompTIA(Computing Technology Industry Association)が提供する、ベンダーに依存しないIT資格です。

A+、Network+、Security+、Cloud+など、IT全般に関する基礎スキルを体系的に学べる資格が揃っており、特定の製品やメーカーに偏らない知識を身につけられるのが特徴です。

例えばSecurity+は、サイバーセキュリティ分野における入門資格として世界的に評価されており、Cloud+はクラウド技術全般の理解を証明する資格として活用されています。

いずれの資格も有効期限は3年間で、継続教育プログラム(CE)によって最新技術へのキャッチアップが求められます。

また、アメリカ国防総省の8570指令でも承認されていることからセキュリティ分野における国際的な信頼性も高い資格です。

まとめ

IT系の国際資格は、海外でのキャリアを視野に入れているエンジニアにとって有効な選択肢です。

技術に特化したものでは、Cisco認定試験やOracle Masterがあります。

汎用的なITリテラシーを測るMOS、監査やセキュリティ分野に対応したCISA、クラウド領域のAWS認定やMicrosoft Azure認定など、分野ごとに幅広い資格が用意されています。

試験料や学習時間などのコストはかかるものの、グローバル企業への転職や国際プロジェクトへの参画を目指す場合、取得する価値は十分にあります。

ただし、IT業界では実務経験が重視されるため、資格だけで評価されるわけではないことも覚えておきましょう。