「出世に興味がない」
「責任が増える管理職にはなりたくない」
世の中には、出世や昇進を望まない人もいます。
価値観は人それぞれであり、どの道を選ぶかは個人の自由です。
ただし、このような働き方にはリスクがあることを理解しておかなければなりません。
そこで本記事では、出世や昇進を望まない人が安心して働き続けるために、最低限取り組んでおきたい備えについて解説します。
目次
キャリアアップに興味がない人が増えている?

近年、キャリアアップを望まない人が増加しています。
その背景にあるのが働き方の多様化です。
これまで一般的だった「会社で出世すること=成功」という考えではなく、「自分らしい働き方=成功」と考える価値観が広がってきました。
出世して責任のある立場になれば、部下のマネジメントや業績責任を担うことになり、精神的な負担は大きくなります。
役職が上がるほど残業や休日出勤が増え、プライベートの時間が削られてしまうといったことも珍しくありません。
収入よりもプライベートを大切にしたいという人が増えているのです。
こうした価値観の変化は、現代の働き方を象徴しているといえるでしょう。
キャリアアップに無関心でいることのリスク

キャリアアップを望まないという人でも、何の備えもせずに働き続けるのは危険です。
将来直面し得る3つのリスクを押さえておきましょう。
会社倒産・リストラ
いまや大企業に勤めていても安泰とは言えない時代です。
不況による影響だけでなく、グローバル競争の激化によっても雇用は揺らぎます。
例えば2020年以降のコロナ禍では、多くの企業が業績悪化に直面し、大手企業でも人員削減が相次いだことは記憶に新しいでしょう。
このように予期せぬ局面が起こってしまった結果、転職が必要になる可能性は誰にでもあります。
そのとき採用側に魅力的な人材として映るのは、キャリアアップのために積極的に取り組んできた人です。
備えを怠っている人は、転職市場で不利になることは避けられません。
市場価値の低下
技術革新のスピードは年々加速しています。
今は当たり前のように通用しているスキルも、数年後には時代遅れになってしまう可能性があります。
また、デジタル化の進展で従来の業務プロセスが置き換えられ、仕事の構造そのものが変わることもあり得ます。
その変化に対応できなければ、提供できる価値を失い、市場での需要は低下してしまうでしょう。
キャリアアップに無関心でいると新しいスキルを学ぶ機会を逃し、気づいたときには同世代や後輩と比べて大きな差がついてしまう恐れがあります。
生活水準の低下
物価の上昇が続き、同じ給与でも実質的な購買力は年々下がっています。
給与が上がらなければ、生活水準を維持するのは難しくなるでしょう。
結婚や出産、住宅購入、教育費といった大きな支出に直面すれば家計はさらに厳しくなります。
また、年金制度への不安も高まっています。
収入が低いままでは老後資金を蓄えるのも難しく、将来の生活の安定が揺らぐ恐れがあります。
キャリアアップに興味ない人がやるべき最低限の備え

あなたがキャリアアップに興味がなかったとしても、身を守るために最低限の備えをしておくべきです。
将来に後悔することがないよう、今から取り組んでおきたい行動をお伝えします。
スキルの維持
まずは、現在保持しているスキルの維持です。
例えば、資格の更新や業務で使う技術の見直しなどが挙げられます。
そして、転職するつもりがなくても年に一度は求人情報を確認し、自分の市場価値がどの程度あるのか感覚をつかんでおきましょう。
収入源を分散させる
副業を認める会社が増えている今、本業の収入だけに頼るのはリスクが高い時代です。
複数の収入源を持つことで将来への不安を和らげられます。
また、副業は生活の安定につながるだけでなく、思わぬ学びや経験になることもあります。
始めやすいのは、仕事で培ったスキルを生かした副業です。
例えばあなたがWebデザイナーであれば、知人に対しホームページ制作の営業から始めてみるとよいでしょう。
プログラミングや動画編集、ライティングといった分野も挑戦しやすい副業です。
資産運用
将来の生活を守るためにお金を増やす努力が必要です。
ただ、貯金はインフレの影響を受けやすく、時間が経つほど実質的な価値が目減りしてしまいます。
大きなリターンを狙う必要はありませんので、少額からでも積立投資やiDeCo・NISAといった制度を活用し長期的に資産を育ててみてください。
資産運用によって得た金融知識は実生活でも役立ちます。
現職での評価の維持
キャリアアップを目指さないからといって、職場で自由に振る舞ってよいわけではありません。
遅刻や欠勤をしないことはもちろん、日常業務でのトラブルを減らし、チームとの関係性を良好に保つことが重要です。
安定して働き続けるためには、最低限の評価を維持する努力が欠かせません。
人間関係の摩擦からパフォーマンスが下がれば、配置転換やリストラの対象となる可能性を上げてしまいます。
現職での評価を保つことこそ、将来的に安定した働き方を続けるための最低条件です。
まとめ
キャリアアップに興味がないこと自体は問題ありません。
価値観が多様化した現代において、自分らしい働き方を選択することは尊重されるべきです。
しかし、昨今のビジネス環境においては、最低限の備えをしておかなければなりません。
重要なのは、「今のままでいい」という現状維持と、「何もしない」という怠慢を混同しないことです。
自分の価値観を大切にしながらも、将来に向けた備えを忘れない姿勢が人生の豊かさにつながります。