Web開発の学習や実務で頻繁に登場する「バックエンド」と「サーバーサイド」というIT用語。

これらは同義語として使われることもあれば、文脈で使い分けられることもあります。

本記事では両者の定義と違い、実務での使い分け方を解説します。

バックエンドとは

バックエンドとは、Webアプリケーションやシステムの内部で、データの保存・処理・提供などを担う領域です。

ユーザーが直接操作する画面や表示部分(フロントエンド)を支える仕組み全体を指します。

この領域には、データベースの管理、ビジネスロジックの実装、認証や権限管理、外部サービスとの連携などが含まれます。

ECサイトでいえば、在庫や注文、会員情報の管理、決済処理などが典型的なバックエンドの機能です。

バックエンドという言葉は、サーバー上のコードに限らず、データ設計やAPI設計、セキュリティ、アーキテクチャ設計といったシステムの根幹部分全体を指す場合もあります。

なお、バックエンド開発を担当する技術者を「バックエンドエンジニア」と呼びます。

バックエンドエンジニアはサーバーサイドのプログラミングだけでなく、システム全体の安定性や拡張性を設計段階から支えています。

サーバーサイドとは

サーバーサイドとは、Webアプリケーションにおいて、サーバー上で実行される処理を担う領域を指します。

ユーザーの端末(クライアント)ではなく、遠隔のサーバーでリクエストを受け取り、必要な処理を行い、その結果をクライアントに返す仕組みです。

ユーザーがWebブラウザから送信したリクエストは、サーバーに届くとサーバーサイドのプログラムによって処理されます。

このとき、データベースへのアクセス、認証、HTMLの動的生成、APIレスポンスの作成などが行われます。

サーバーサイドの実装には、Python、Ruby、PHP、Java、Node.jsなどのプログラミング言語がよく使われます。

ユーザーがログインフォームに入力した情報を送信すると、サーバーサイドで認証処理が実行され、正しい情報ならセッションが確立されます。

ログイン機能のように、ユーザーの操作に応じてデータを検証・処理し、結果を返す部分がサーバーサイドの役割です。

フロントエンドとクライアントサイドとの関係

バックエンドとサーバーサイドの対となる概念が、フロントエンドとクライアントサイドです。

フロントエンドは、ユーザーが直接目にして操作する部分全体を指します。

Webサイトであれば、画面のデザイン、レイアウト、ボタンやフォームといったUI要素、それらの動きやアニメーションなどが含まれます。

バックエンドが「裏側の役割」を意味するのに対し、フロントエンドは「表側の役割」を意味します。

クライアントサイドは、ユーザーのデバイス上で実行される処理を指します。

Webブラウザで動作するJavaScriptコード、CSSによるスタイリング、HTML要素の操作などが該当します。

サーバーサイドが「サーバー上での実行場所」を意味するのに対し、クライアントサイドは「クライアント上での実行場所」を意味します。

つまり、フロントエンド/バックエンドは「何をするか(役割)」、クライアントサイド/サーバーサイドは「どこで動くか(実行場所)」という違いがあります。

まとめ

バックエンドは「ユーザーから見えない裏側の機能全体」を指す役割的な概念であり、サーバーサイドは「サーバー上で実行される処理」を指す技術的な概念です。

実務では両者を同義として扱うことも多いですが、厳密には異なる視点からシステムを捉えた用語といえます。

実務でシステムの役割分担や全体設計を語るときは「バックエンド」、実行環境や具体的な技術選定を語るときは「サーバーサイド」を使うと、より正確なコミュニケーションができます。

対となるフロントエンドとクライアントサイドも同様に、役割と実行場所という異なる視点からの分類です。