「どのIT資格を取ればいいのか分からない」
「そもそも取得して本当に意味があるの?」
IT業界で働いていると、このような声をよく耳にします。
たしかに、資格より実務経験が大事という意見も根強くありますし、そもそも資格の種類が多すぎて何から手をつけていいのか迷うということもあるでしょう。
そこでこの記事では、取得しておいて損のないIT資格を、初心者・中級者・上級者のレベル別に7つ厳選して紹介します。
フリーランスとして独立を考えている方、今の会社でステップアップを目指している方も、ぜひ参考にしてください。
目次
IT資格の選び方

IT資格を取ろうと考えたとき、本当に今挑戦すべき資格なのかを見極める必要があります。
そのために、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
市場ニーズがあること
どれだけ難易度が高く取得する価値がある資格であっても、業界で求められていなければ意味がありません。
例えば、時代遅れの技術に基づいた資格や実務との関連性が薄い資格は、知識として無駄になるわけではありませんが、転職やキャリアアップの場面で活用できる可能性は低くなります。
現在のIT業界では、クラウド技術やセキュリティ分野のスキルを持つ人材が特に重宝されており、これらの関連資格を取得することは大きなアドバンテージとなります。
学習段階に合っていること
基礎知識がまだ十分でない段階で上級資格に挑戦すると、理解が追いつかず挫折しやすくなります。
また、必要以上に時間がかかってしまい効率的な学習ができません。
まずは自分の現在のレベルを正確に把握し、基礎から応用へと段階的に進むことが重要です。
例えば、IT分野であれば基本情報技術者試験から始めて、その後に応用情報技術者試験、さらに専門性の高い資格へと進むといったように、順を追ってステップアップしていくと効果的です。
実務とのつながりがあること
資格取得で得た知識が、実際の業務で活かせるかどうかも重要な判断材料です。
今すぐに必要でなくても、将来的なプロジェクトや業務拡大を見据えて学んでおくことでチャンスが広がることもあります。
実務との関連が深い資格を選べば、日々の業務の効率化にも役立ちます。
【初心者向け】おすすめIT資格2選

初心者向けのおすすめ資格を2つ紹介します。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、ITに関する基礎的な知識を幅広くカバーした国家資格です。
プログラミングやネットワークといった技術分野をはじめ、IT戦略やマネジメント、法務に至るまで現代のビジネスに欠かせないIT知識の全体像を体系的に学べます。
ITパスポート取得の最大のメリットは、IT全般の「共通言語」が身につくことです。
IT業界で当たり前に使われているIT用語が理解できるようになれば、実務に必要な基礎力を養えます。
また、転職活動においても、ITに対する一定のリテラシーがあることをアピールできます。
取得難易度は易しめで、独学でも計画的に勉強すれば2〜3ヶ月程度で合格できるレベルです。
IT業界への転職を考えている方や、現在の職場でIT関連の業務に携わる機会が増えている方は、まずはこの資格からスタートすることをおすすめします。
基本情報技術者試験(FE)
基本情報技術者試験は、ITエンジニアの登竜門とも呼ばれる国家資格です。
プログラミング、アルゴリズム、データベース、ネットワークなどエンジニアに必要な技術知識を体系的に学べます。
基本情報技術者試験を取得していると、エンジニア職への転職時に最低限の技術や知識があることを客観的に証明できます。
実際、多くの企業で新人エンジニアの研修目標として設定されており、取得すると資格手当が支給されることも多いです。
過去に私が一緒に働いたエンジニアの中でも、FEを持っている人は基礎がしっかりしている印象があります。
ITパスポートよりも難易度は上がりますが、エンジニアを目指すなら必ず取得しておきたい資格です。
【中級者向け】おすすめIT資格3選

IT業界での経験を積んだ方や、より専門的なスキルを身につけたい方におすすめの資格を紹介します。
応用情報技術者試験(AP)
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位資格でさらに高度な技術知識とマネジメント能力が問われます。
システム開発の上流工程や、プロジェクト管理に関する知識も含まれており、技術者からリーダーへのステップアップを目指すときに求められることも多い資格です。
実際、システムエンジニアからプロジェクトリーダーやマネージャーに昇格する際の要件として設定している企業も少なくありません。
また、転職市場でも「中堅エンジニア」としての技術力や適性をアピールできます。
勉強期間は、FEを未取得の方であれば半年程度を見込んでおきましょう。
すでにFEを取得している方は、基礎知識が身についているため3か月前後での合格も十分に狙えます。
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(SAA)
AWS認定ソリューションアーキテクト アソシエイト(SAA)は、世界最大のクラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」の設計スキルを証明する資格です。
近年、クラウド人材の需要が爆発的に高まっていることから特に注目されているクラウド系IT資格の一つといえるでしょう。
DXの推進でクラウド移行を進める企業が急増している一方、クラウド設計・構築に対応できる人材は、不足しがちです。
SAAを取得すると転職時の年収アップが狙えるほか、フリーランスとして活動する場合も案件獲得に役立ちます。
学習期間の目安は以下の通りです。
- 未経験者の場合:2〜3か月
- IT経験者(インフラ・開発経験あり):1〜2か月
学習を進める際は、AWSの無料利用枠(12か月間有効)を活用し、EC2インスタンスの構築やS3へのファイル保存といった実際の操作を通じ、理解を深めることが効果的とされています。
なお、SAA資格には3年間の有効期限があり、継続的には再認定が必要です。
Cisco Certified Network Associate(CCNA)
CCNA(Cisco Certified Network Associate)は、ネットワーク機器の世界シェアトップを誇るCisco社が提供するネットワークエンジニア向けの認定資格です。
ルーティング、スイッチング、セキュリティなど、ネットワークの基本から応用まで幅広く学べるため、ネットワーク分野の中級資格として人気があります。
ネットワークの基礎知識は、クラウドやセキュリティを学ぶ際の土台にもなります。
ネットワークエンジニアを目指す方にはもちろん、インフラやセキュリティを担当するエンジニアにとって取得しておいて損はない資格です。
過去に私が関わったプロジェクトでも、CCNA保有者はトラブル対応がスムーズで周囲からも信頼されていました。
学習は実機を使っての演習が理想ですが、近年は「Cisco Packet Tracer」などのシミュレーションツールで対策できます。
学習時間の目安は、IT未経験・ネットワーク初心者で2〜3か月(80〜120時間)、IT経験者で1〜2か月ほどです。
【上級者向け】おすすめIT資格2選

最後に、すでにIT業界で実績を積んでおり、さらなるキャリアアップを目指す方向けの資格を紹介します。
AWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル(SAP)
SAAの上位資格にあたるのが、このAWS認定ソリューションアーキテクト プロフェッショナル(SAP)です。
より大規模で複雑なAWS環境の設計や運用に関する知識が求められ、クラウドインフラ全体を統括する立場のエンジニア向けの内容となっています。
実務経験や高度な設計スキルが前提とされており、AWS資格の中でもトップクラスの難易度を誇ります。
社内評価や昇進・昇格に影響することもあり、資格手当を支給する企業もあります。
学習期間は半年〜1年が目安とされていますが、SAA取得済みであれば短期間での合格も十分可能です。
AWSをキャリアの中心に据え、専門性を高めたい方にとって非常に価値ある資格といえるでしょう。
データベーススペシャリスト
データベーススペシャリストは、データベースの設計・構築・運用に関する高度な専門知識を証明する国家資格です。
データベーススペシャリストを取得すれば、管理業務だけでなく分析基盤の設計やAI向けのデータ整備といった戦略的な業務も担えるようになります。
特に、大量データを扱う金融・保険・商社などの分野は、資格を持つ人材の需要が高く、年収1000万円を超える求人が出ることもあります。
理論の理解に加えて設計や、チューニングなど実務に近い経験を積みながら進めていくのが効果的です。
目安となる学習期間は、半年から1年ほどとされています。
まとめ
役に立つIT資格についてご紹介しました。
資格の取得は、キャリアアップや年収向上に直結する有効な手段です。
特にクラウドやセキュリティ分野は将来性が高く、今後もニーズの拡大が見込まれます。
まずは、自分の目標に合った資格から取り組み、着実に理想のキャリアを目指していきましょう。